私の脳の騙し方
皆さん、この夏はいかがお過ごしでしょうか。エアコンの効いた部屋でアイスを食べる瞬間は最高ですよね。
さて、私のこの夏の相棒はアイスではなく「マンホール」です。
現在、業務で排水調査を行っており、この夏だけで開けたマンホールの数はなんと約500~600個。
1日約8時間、遮るもののない炎天下。地面からの照り返しを受けながらの作業は、まさに限界突破の連続です。
しかし、そんな極限状態だからこそ出会える「至高の瞬間」があります。
それは、建物や木のわずかな「日陰」に逃げ込み、ふと浴びる一陣の風。
これが不思議なことに、オフィスの最新エアコンの風よりも涼しく、高級リゾートのそよ風よりも心地いいのです。
「人間、日陰と風さえあれば生きていける」と、野生の強さを取り戻す瞬間です。
さらにこの夏、私は人間の身体に関する恐るべき神秘を発見しました。
休日の私は、家から一歩出ただけでも「無理!暑すぎて溶ける!」と悶絶しています。
それなのに、仕事の日の朝は違います。玄関を出る前に「よし、今日は1日外だぞ」と脳と体にギチギチに言い聞かせると、
あら不思議。スイッチが入ったかのように、あの酷暑に意外と耐えられてしまうのです。
人間の脳は、気合いひとつで「対・酷暑モード」に強制アップデートできるようです。
(※ただし休日は完全に初期化されます)
そんな風に、脳を騙し、日陰の風に救われながら、毎日せっせとマンホールを覗いていると、
そこには「当たり前の日常」を支える排水インフラがドクドクと流れています。
私たちが文字通り汗水を流して開けた600個の穴の先には、誰かが快適にトイレを使い、お風呂に入り、
料理をする暮らしが繋がっている。そう思うと、泥臭くて誰も見向きもしないこの仕事が、少しだけ誇らしく思えるのです。
今日もまた、朝の脳内設定を「対・酷暑モード」に切り替えて、外に出てきます。
皆さんも、足元のマンホールを見かけたら、その下に広がる壮大なインフラをほんの少しだけ思い出してみてください。
我が家の前にある、岡山ではお馴染みの桃太郎マンホール。
鉄蓋の中で、炎天下でも涼しい顔をして凛々しく佇む桃太郎先輩。
そのプロフェッショナルな表情を見ていたら、私も頑張ろうと勇気をもらいました。
天野 美貴
